ガイ、笑っていてくれよ。

そしたら俺何も怖くない。

他の誰でもない、お前の為に、お前の生きる道を守る為に死ねるってすげーことじゃん。

だから、そんな顔するなよ。

怖くなるだろ・・・

 

 

 

 

「ルーク、眠れないのか」

「ガイ・・・うん。明日消えちまうんだ・・・寝るの、勿体無いじゃん」

 

月夜の下、精一杯笑う。

俺、うまく笑えてるかな。

薄暗いし、きっと大丈夫だよな。

 

「ムリして笑うな。泣きそうだぞ」

 

あれ・・・何でガイは何も言わなくてもバレるんだろ。

ガイの大きな手で頭を優しく撫でられた。

触れられると、安心する。

優しくされると、溢れてくる。

 

「・・・ガイ」

「何だ?」

「・・・・・・怖いよ」

「・・・なら・・・一緒に逝くか?」

 

言ってる意味がわかんなくて、顔を上げたらガイと目があった。

すごく真剣で、悲しそうで、痛々しい瞳。

 

「一人じゃ怖いのなら、俺がついててやるよ。お前を一人にはさせやしない」

「・・・!!」

 

ガイの胸に引き寄せられ、すっぽりと包み込まれた。

背中に触れられた手が微かに震えている。

抱きしめられるのってこんな気持ちいいことだったんだ。

 

このまま離れたくない。

許されることならガイといつまでも一緒にいたい。

それが、生でも、死でも・・・

 

「・・・だめだ・・・」

「ルーク?」

 

ガイの両手を払いのけ、一歩後ろに下がった。

暗い影を落とし不思議と不安の入り混じったガイの顔。

そんな顔しないでくれ。

 

「決めたんだ・・・怖いけど、ガイや皆の為に・・・ガイの為に消えるって・・・だから」

 

俺よりも泣きそうなガイの顔。

そんな顔始めて見るぞ。

俺には知らないガイはまだまだいるんだな。

もっと知りたかった。

 

「だから・・・皆が泣いても、ガイは・・・笑っていてくれ」

「ルーク・・・!」

「そしたら、俺よかったと思える。世界を救って、ガイに喜んでもらいたい」

 

今度は、心から笑えたよ。

ムリなんてしてない。

目じりが熱くて、視界が潤むけど、笑うことは止めない。

強く引かれまたガイに抱きしめられる。

 

「・・・笑えって言ってるじゃん」

「馬鹿野郎!!・・・笑えるかよ」

「笑えって。・・・約束だ、絶対破るなよ?お前約束やぶらねぇんだろ?」

「・・・・明日は・・・守る」

「っし、それで・・・いいっ・・・」

 

2人で泣いたことなんて始めてだな。

ありがとう、俺の為に泣いてくれて。

ありがとう、俺の傍にいてくれて。

 

 

 

 

その瞬間、ガイが見えた。

ああ、約束守ってくれたんだな。

だから、怖くなかった。

だから、ためらいなかった。

言っても言っても足りないくらいのありがとう。

ガイ、ありがとう・・・

 

 

 

「・・・ルーーク!!」