桜咲き、そして散る




桜咲く道を君と一緒に歩いた。
あの木までたどり着くのどっちが早いか、とか、どっちの歩幅が大きいか、とか、くだらないことを競いながら。
君は、すごく必死になって足を進めてたね。
 
桜舞う道を君と一緒に歩いた。
宙を舞う桜の花びらをどっちが多く採れるか、とか、どっちが草笛うまいか、とか、子どもっぽいことで遊びながら。
君は、負けてしまったことが悔しくてそのあと口を聞いてくれなかったね。
 
そして・・・僕はまたこの道を歩いている。
あの頃は楽しかった、とか、これからは過ぎていく時を大切にしよう、とか、生きていくという事を大切にしようと思いながら。
君は、こんなキレイゴトは嫌いかな?
 
桜枯れる道を君と一緒に歩いた。
いや、桜枯れる道を君の思い出と一緒に歩いた。
君のいない世界で・・・
君を思いながら。
君の死を見つめながら。