ウィーズリー家のディズ○ーランド家族旅行物語
すこし性的表現があります。
もちろんロン受け
桜城はパリのディズ○ーランドには行ったことないので東京のを基準に
想像で書いています。


それでもいいって方はどうぞ・・・























夏の暑さが部屋に充満し、五月蝿いくらいになく蝉たちが夏休みだということを実感させる。ロンは、リビングでこの暑さをどうにかしようとソファに寝転び顔の上に本を乗せ考えていた。もちろんいい考えなど毛頭無くただ時間だけが過ぎていった。外では双子が遊んでいるのか、騒がしい声と水の音が聞こえる。

「元気だなぁ〜・・・」

けど、確かに水を浴びれば涼しくなる、そう考えたロンは本を床に投げ外に飛び出した。
ドアから出たとたん眩しすぎる太陽の光とジリジリと蒸し暑い感覚がロンを襲ったが気にせず双子のいる庭へと足を進めた。庭につくとびしょ濡れの双子とともに別の背の高いシルエットが視界に入り込んだ。

「ビル!?」

ウィーズリー家の長男で頭も顔もよくホグワーツでもトップの成績を残して卒業して、今はエジプトで仕事をしているビルだ。ビルは双子と共にびしょ濡れになってあそんでいたが、ロンに気付くとぬれた髪を掻き揚げながら近寄ってきた。

「帰ってきてたの?いつの間に?」
「ついさっきだよ。家に入る前にあいつらに水をかけられたんだ、まぁ、たまにはあい つらのお遊びにもつきあってやろうかと思ってな」

ビルの髪からポタポタと水が滴る。ぬれた髪も肌も太陽の光に照らされて綺麗に光って・・・見上げるロンはビルはかっこいいんだと実感していた。

「まだまだだぞ!ビル!」
「お、ロンもいる。放水はじめ〜」

双子の声と共に大量の水が上から降り注いだ。お陰で体温は下がり涼しくはなったがいきなりのことでかなり驚いた・・・。

「よくもやったな〜!!」

ロンは叫ぶなりフレッドのホースを奪い取り最高の水量でジョージに向けた。
強い水圧がジョージの背中を襲い、涼しげな水の音と共にジョージが叫ぶ。

「ロン!それは酷いっ!冷たいし、痛い!!」
「どうだ〜、涼しくなっただろ〜!わあっ!!」
「お兄様にそんなことするロニィにはおしおきだ」

フレッドが別のホースを持ってきてロンの服の中に入れた。背中に流れる水の冷たさにゾッとしながらも、仕返しにとフレッドの顔めがけて水を放つ。

「ぶっ!・・・鼻に入った。ゲホッ・・・」
「「あははははっ」」

ロンとジョージは腹を抱えて笑い始めた。その少し離れた後ろでまだ濡れているビルが優しそうに微笑んでいる。
どれだけ遊んだか解らないくらい遊んだ。突然ビルが蛇口の方に歩き始めホースの水を止め片付け始めた。

「そろそろ涼しくなってきた、水浴びもやめて家にもどるぞ?あまり水を浴びていたらカゼをひくからな」
「「「え〜!?もう?」」」

三人はまだ遊び足りないといった顔で不満そうにビルを睨む。そんな三人を気にもせずビルは家に向かって歩き始めた。後ろからは三人の不満の声が聞こえる。
どれだけ不満を訴えても相手にしてくれないビルに三人はとうとうあきらめの表情を表す。

「ちぇっ。まぁ、そろそろ夕飯の時間だし丁度良いかもな」
「今日はなんだろ?」
「さあ、ビルもチャーリーも帰ってくることだし期待してもいいんじゃないか」

三人はびしょびしょのまま歩き出した。夢中で遊んでいたので気が付かなかったが、もう日も暮れかかり蝉の声も聞こえなくなっていた。気温もずっと下がり濡れたままでは寒いくらいだ。ロンは赤くなりかけている空を見上げながらいきなり寒さに襲われる感覚がした。

「・・・っくしゅっ」

ロンが大きなクシャミをした。タオルくらい持ってくれば良かったと後悔する。
ズズッと鼻をすすり両手で自分を抱く。

「大丈夫か?もうカゼか?」
「ロニィたんはまだまだ子どもですからね」
「うるさい!カゼなんかひいてないし、子どもでもない!」

ニヤニヤと笑いながら、しかし心配したように双子が尋ねてくる。
ぶるぶると体を震わせ双子を睨みつけた。
このまま濡れた服を着ていてもなおさら寒いだけ、そう思ったロンは上着を脱ぐ。

「なんで脱ぐんだ?」
「よけい寒・・・はっ・・・くしゅっ」

二度目のクシャミでフレッドがありえない行動にでた。
いきなり後ろから抱き着いてきて、濡れた髪を肩に乗せてくる。
触れ合った肌からじわりと熱が伝わった、たしかにあったかい・・・でも!

「フレッド!なにするんだ!?動きにくいよ」
「ロンが寒そうだったから暖めてやろうと思って」
「いいよ!もう家はいるんだからお風呂で暖まるよ!」
「じゃあ、風呂では俺が背中流してやる」

ロンとフレッドの横で微笑むジョージが優しくしかし、どこか暗く、ロンの頭に手を乗せながら言う。

「いいってば!」

体をくっつけてくるフレッドと頭の上にあるジョージの手を振り切りロンは家に向かって全力で走り出す。
玄関のドアを乱暴に開くとリビングにいたビルが驚いたように動きを止めて僕を見た。けどそんなビルを横目に自分の部屋まで止まらず走った。部屋までつくと着替えを引っ掴みまた勢いよく階段を駆け下がり、そのままお風呂場へと直行。服を素早く脱ぎ暖かいお湯が張られる浴槽にダイブした。溢れたお湯が排水溝へと流れていく。

「はぁ〜・・・あったかい・・・気持ちいい」

静かなお風呂場に微かに水の音。ロンはあまりの気持ちよさに眠りそうになる。
それから十分に体を温めてくれるお湯を堪能したロンは心地よい気分のまま浴槽を出た。
お風呂をあがるとママとジニーがキッチンで夕食の支度をしているところだった。
テーブルにはパパとビルとチャーリーが座り仕事の話や魔法界のことなど難しそうなことを喋り、ソファでは双子が顔を合わせ何か紙に書きながら熱く議論している。
ロンはテーブルに向かいビルの隣に座った。三人の話を聞いても全く解らない。つまらなそうな顔をしているとビルが気付いてくれたらしくパパやチャーリーの話を抜けて、僕の話を聞いてくれた。ビルは優しいなぁ。
すこし話した所で、夕飯が出来たらしくジニーがパーシーを呼びに階段を上がっていった。

「さぁさぁ、今日は家族全員が久しぶりに揃った日なんですから、難しい話はなしにし てご飯にしましょう」
「お、やっぱり今日はごちそうだ」
「まぁ、こんな日までマッシュポテトじゃまいっちゃうよな」
「早く席につきなさい」

おりてきたパーシーとジニーも座り、テーブルがいっきに小さくみえた。9人も座ればあたりまえかな。久しぶりの家族団らんはすごく楽しくていくらでも食べられそうな気分になってくる。長い夕食も終わりかけたときビルが立ち上がった。

「実はね、僕の仕事先で大抽選会があって俺それで特賞引いたんだ」

ビルがにこにこと嬉しそうに家族に向けて説明する。ママ、パパ、ジニーは「凄いじゃない」と驚き、双子は「これでビルのくじ運も尽きたなと」しんみりした表情をしている。
僕もびっくりした。そして何が当たったのか凄く気になった。

「こほん、特賞の中身は・・・ディズ○ーランド2泊3日の旅です!」

一瞬のしーんとした空気の中みんな一斉に声を上げた。

「え!?本当に!?やったぁぁ!!」
「「マジかよ!?やりぃ!!」」
「あらぁ〜、いいのかしら・・・」
「勉強の時間が減るな」
「僕、初めてだよ!ハリーもいい!?」
「う〜ん、今回は家族だけな」
「そっか、まぁいいか」
「出発は・・・明後日だから早く用意しとくように!」

チャーリーがため息と共に、

「急だな・・・」

と呟く。
ロンはうきうきと心の中で踊っていた。

―――チャーリーの気持ちは置いといて・・・最高だ!!!だってあのディズ○ーランドだよ!僕一度行ってみたかったんだ!明後日の出発ってところが気になるけど、張り切って用意しなくちゃ!ハリーやハーマイオニーとも行きたかったな。

次の日のウィーズリー家はどたばたと皆が世話しなく走り回っていた。初めてのディズニーランドでしかも2泊。ロンは何を持っていけばいいのかよく解らなくなり大きなキャリーバックの中にはまだ下着とTシャツ、ジーンズしかはいってなかった。

「ホテルだろうしタオルはある。シャンプーとかもありそう・・・着替えはコレで十分 だし・・・あ、おやつ入れ忘れてる!」

ロンが部屋にある全てのお菓子をキャリーバックに詰めていると、笑いを含んだビルの声がした。

「そんなにお菓子持って行っても邪魔なだけだぞ?」

ドアをノックしながらビルが部屋に入ってくる。なんのためのノックなの?しかし、ロンはお菓子でいっぱいになったキャリーバックを見つめさすがに入れすぎたかな・・・と反省する。

「ロン?旅行にはピッグを連れて行けないから今のうちに友達のところに預けておきな さい。明日は朝出発だから」
「え!?連れていけないの!?僕・・・ピッグも一緒がよかった。どうしてもダメ?」

ロンが情けない顔をして見上げてくる。自分では解ってないようだがすごく可愛い。
けど、ダメなものはダメ。ビルはしゃがみロンの頭を軽く撫で、頬に軽くキスをする。
チュッとの音と共にロンが顔を赤く染め、下を向いた。

「わかったか?」
「うん・・・ハリーに預かってもらうよ」
「いい子だ・・・」

ロンは早速ハリーへの手紙を書きに机に向かう、ドアにもたれかかりその後姿をビルは複雑そうに眺めていた。
―――素直に言うことを聞くのはいい、しかし・・・ハリー、ハリー・・・か。そんなにいい奴なのか?ハリー・ポッターは。

「ハリーへ、元気かい?ビルがディズ○ーランドの招待券を持ってきたんだ!!素晴ら しいよね!でも、ピッグは連れて行けないって言われて・・・だから旅行の間だけ預 かってほしいんだ・・・。そうそう・・・」

手紙の内容を口に出しながら書くロンはとても嬉しそうだ。それほどハリーに手紙を書くのが嬉しいのか・・・?自分で思って暗い気分になる。

「妬けるな・・・」

ビルがため息とともに呟く。ロンが振り向き不思議そうな顔をしている。

「何でもないよ。じゃあしっかり用意しておけよ?」
「うん!」

ゆっくりとビルが部屋から出て行き、パタンとドアの閉まる音がする。もう完璧に用意のできているビルはする事もなくなり、散歩にでも行こうと外に出た。上でぱたぱたと羽ばたく音がする。ロンが手紙をピッグに持たせ窓から飛ばしたとこだ。

「じゃあな、お土産買ってくるから、ハリーに迷惑かけるなよ!」

―――またハリーか・・・。くそっ。・・・俺は見たこともあったこともない奴に何やってんだ・・・情けない。

ロンが窓を閉め、また旅行の用意に取り掛かる。そんな持っていくものもないんだしすぐできるだろう。散歩にでも誘うか・・?そんな思いを振り切りビルは森の方へ歩き始める。外は夕日に照らされ何処もほんのりと紅い。歩き始めてどれくらいたっただろう、ビルは昔よく遊んだ大きな木の元へたどり着いた。枝にはブランコが括り付けられ、風に吹かれ木の葉のカサカサという音と共に微かな音をたてている。

「ふぅ、少なくとも明日から2日間は『ハリー』のことは口にださない・・・かもしれ ない。折角の家族旅行だ、楽しもう」

ビルは自分に言い聞かせるように口に出す。ゆっくりと木の根元に寝転び何処までも紅く染まった空を眺めた。寝転んだとたん急に眠気に襲われビルは目を閉じる。綺麗に染まった紅の変わりに漆黒の暗闇がビルを包んだ。頬を撫でる風が心地よい。
目を閉じて数分もしない内に自分を呼ぶ声が聞こえてきた。目を開けると心配そうに見つめるロンの顔があった。

「ビル、どうしたの?どっか痛いの?」
「いや、なんでもないよ・・・ただ少し眠くなってね。それよりもロン、用意はできた のか?」
「ばっちりだよ!早く明日になるのが待ちきれないよ」
「そっか・・・」

ロンが興奮して飛び跳ねているのを横目にビルはまた目を閉じた。ロンがまた心配そうな声をだしながらビルの横に座る。

「ロン・・・」

目を閉じたまま眠たそうな声で愛しい子を呼ぶ。覗き込んできたロンの頭をグイッと引き、自分の胸の上で抱え込む。もごもごと苦情を訴えるロンを無視して、ビルは眠りつきはじめた。ロンも諦めおとなしくビルのなすがままに暖かくてしっかりとしたビルの胸に頭を預ける。

「ロン・・・明日から楽しみだな・・・」

ゆっくりとした口調でビルがロンの頭をぽんぽんとしながら優しく言う。
ビルからは少しのタバコの匂いと香水の匂いがする。
久しぶりのビルの香にロンは酔いしれる。この匂いは嫌いじゃない。

―――ビル、気持ち良い・・・早く家に戻らなきゃいけないんだけど、もう少しだけ・・・。

明日からは始めてのディズ○ーランド。どんなことがあるのかとても楽しみ。
そんなことを思いながらロンも目を閉じた。