どこからか火薬の匂いがした。

どこからか血の匂いがした。

どこからかタバコの匂いがした。

どこからかあいつ匂いがした。

 

暗い空から降る純白の雪が地面に落ちると赤い液体の一部となる。

誰かの悲鳴も誰かの助けを求める手も誰かの涙も誰かの命も知らない。

ただ、お前が私の左手を掴んでいてくれるなら。

 

 

 

 

 

「大佐、今日の報告書っす。」

「・・・そこに置いておきたまえ」

「今日もお疲れっすね。・・・今日は・・・」

「ああ。こう毎日では流石に疲れるな。・・・今日は北の方の小さな村を

「っ!早く戦争おわんねぇかな・・・」

「・・・そうだな。」

 

そのために炎を向けるのだ。

何の罪も怨みもないものに。

男だろうが女だろうが子どもだろうが老人だろうが。

ただ無機質なモノに火を付けるように、一瞬でそれは人から人ではないモノになる。

だが、私はためらってはいられない、後悔している暇は無い。

一つでも多くのモノを作るため。

立ち止まれない。

望みがある。

約束がある。

守るべき人がいる。

お前がいる。

 

「こう忙しくてはデートする暇もないんじゃないすか?」

「まったくだ・・・」

「いい機会じゃないっすか。これを機に本トに好きな人一本にしたらどうすか?」

「私が愛しているのはただ一人だよ」

「へぇ、そんな人いたんすか?以外〜」

「分からないか?ハボック」

 

ロイはハボックの前まで歩き、跪き手の甲に軽い口付けを落とす。

その行動にピクリと体を震わせハボックが一歩後ろにさがる。

だが、ロイは手を離さず手の甲から中指までを舌でなぞり中指を深く銜える。

ヌルリとした感覚にハボックは手を強張らせ思いっきり手を引く。

ロイの口内から出された指はしっとりと濡れ、熱い。

腰の辺りがじんとする。

感じているのかもしれない。

ロイは唇を親指でなぞり、ニヤリと笑う。

 

「今日の夜は空いているのか?」

「・・・今日は・・・っ」

「もう二週間もまともに触れてない。そろそろ限界だ。少尉、今夜私の部屋に来なさい」

「え・・・ぅ」

「ハボック。返事は?」

「い、イエスサー・・・」

「よろしい、では仕事に戻りたまえ」

「〜〜〜っ・・・はい」

 

顔を真っ赤にしてハボックは部屋から出ていった。

残されたロイはさっきまでハボックの手を掴んでいた左手をじっと見る。

 

ハボックの手は綺麗だった。

人を死に追いやったことの無い手。

それは温かかった。

癒される気がした。

 

ロイはゆっくりと両手を見比べる。

 

右手はいつも人を殺す手。

この手一つで一体何人この世からいなくなっただろうか。

何人が不幸になっただろうか。

何人が未来を迎えられなかっただろうか。

 

ロイは両手を力いっぱい握り締めあった。

 

ハボックに触れた左手は温かい。

人を殺す右手は冷たい。

 

触れ合った部分が丁度いい温度。

握り締めあっているとどんどん両手が冷たくなっていった。

もうあの温もりは感じない。

 

いつかあの温かさをも冷たさに変えてしまう日がくるのか・・・・・・?

冷たくなってもお前は私のもとにいてくれるだろう?

冷たくなっても私はお前を愛するから。

毎晩抱くから。

お前だけがこの世界にいればいい・・・

 

 

 

 

 

静かな夜、薄暗いロイの部屋には二つの淫らに動く獣の姿があった。

ベッドに組み敷かれ後ろから激しく揺さぶられ喘ぐ獣、ハボック。

ハボックを壊す勢いで腰を打ちつけ美しい笑みを浮かべる獣、ロイ。

もうこの行為が始まってどのくらいたったのかわからないくらい時間は過ぎていた。

ハボックはとっくに限界を超え、朦朧とした意識の中でロイを受け止めただ荒い息と快楽に咽び泣く。

 

「ひぃあ、あっああ・・・も、やめ、あっあう」

「二週間ぶりなんだ、まだまだ止められないさ。・・・っ、ハボック」

「んあっ・・・あ、熱・・・い、大佐ぁ、んふぅ」

「気持ちいいか?なんかいもイッているのにまだまだ出そうだな。二週間の間一人でしなかったのか?」

「んなこと・・・しませんっ!ふあっ、ああ・・・」

「私はしたよ。毎晩お前を抱くこと想像しながら・・・。私の想像のお前はとても従順でいやらしくて快楽の虜なのだよ・・・」

 

ロイがハボック自身を両手で掴み、激しく揉みしごく。

ロイの言葉でその情景を想像してしまったハボックは無意識のうちに自ら腰を動かし、ロイを求める。

そんなハボックの姿にロイは煽られ激しく腰を動かす。

ロイをくわえ込むそこもロイに揉まれているそこももう感覚がない。

だがもっと欲しいと涎を流す。

 

「っ・・・うあああっ、も、マジ止めて・・・ん、も、出ない・・・」

「自分から足を広げ、腰を動かし、可愛らしくねだってくるのだよ・・・。その姿を思い浮かべるだけでイッてしまうくらいだよ・・・」

「んんっ・・・ふっ。はぁ、は・・・ひああうぅ」

 

ハボックの中からぐちゅりと音をたてて勢いよくロイのものが姿を表す。

それは何度も達しているはずなのに今だ勢いを衰えさせず、大きく反り返っている。

いきなりの喪失感にハボックの蕾はひくひくと振るえ、次の挿入を待つかのようにぽっかりと

穴が開いている。

やっと終わり・・・そう思ってほっと一息つく姿にロイは意地の悪そうな笑みを浮かべベッドの下に落ちているロイのネクタイを取り上げ、自分の精液でべちょべちょのハボックのものを根元からきつく縛った。

 

「ああっ、痛っ!なっ、なにするんすか!?取ってくださいよ!」

「まだまだ終わりなものか。ハボック、出すのが辛いなら出さなければいい」

「え・・・?なに言っ・・・くぅあああああっ」

 

きつく縛られ震えるハボック自身の鈴口に人差し指をつき立て、奥に隠れる袋をぐにゅりと捏ね回す。

そして、先ほどまでロイを銜えていた赤くひくつく蕾にどこからともなく出したバイブを押し付ける。

すでに蕩けきったそこはすんなりと挿入を許す。

ロイがバイブのリモコンを手にとりいきなりMAXの位置につまみを動かす。

ハボックの中に埋まったバイブが遠慮なしに中で動き回る。

 

「ああぁあああっ!いやっ、やあぁ・・・くぅ」

「そんなにいいか?」

「はぅ・・・いっ!いいっ・・・気持ちいっ・・・ひああ」

 

強すぎる快楽が凶器となってハボックを襲う。

今までに感じたことのない刺激に涙と唾液を流しながら喘ぐハボックにロイはゴクリと生唾を飲む。

ロイはハボックの中で暴れるバイブを掴み円を描くように動かした。

ぐちゅりという水音と共にハボックの口からは苦しそうな声が漏れる。

 

「ひぃ・・・あああっ!んあ、あっくぅ・・・いやぁあ!そこっ、やあっ!!」

 

一際大きく叫び、びくびくと全身を痙攣させる。

どうやらハボックの一番いいところにバイブがあたったらしい。

本来ならイッてしまうような刺激でも縛られているせいでイけず、熱いものが出口をもとめ体のなかをぐるぐると回っている。

 

「そこっ・・・苦しっ、ひぃああっ・・・いいっ!もっ、と・・・んあっ」

 

ハボックはもう自分が何を言っているのかわからない。

ただ、ロイとバイブが与える狂いそうな快楽の虜になっていた。

苦しくて苦しくて、でも、もっと欲しい。

 

「ここか・・・?ここを擦られるとたまらなくよいだろう?」

 

熱っぽい声でロイが耳元で呟く。

ぴちゃりと耳を舐められくすぐったさと恥ずかしさからハボックは首を振る。

その間もハボックの中を犯すものは激しく動く。

 

「たぁいさっ・・・ひああっ!もっ・・・ひくっ・・・くぅぅぅぅん」

 

ハボックが切なげに泣いた。

強すぎた快楽を溜め込みすぎた体は限界を超え、脳が達したと錯覚したのだ。

だが実際には、射精はしていないのだから苦しみは倍になっただけ。

ダラダラと先走りを流すハボック自身は限界まで張り詰め、紐をちぎってしまいそうなくらいに膨張している。

早く気の狂いそうな感覚から逃れて楽になりたい・・・もうハボックの頭の中にはそれしかなかった。

自分で戒めを解こうと必死になって自身に両手を絡める。

だが、きつく縛ってある為なかなか解けず、逆に自分に刺激を与えてしまいハボックは声も出せずただ荒い息と大粒の涙をこぼす。

だが、だんだんその刺激にもなれてきて自分から手を動かし、自身を更に高みへと導く。

 

「淫乱だな、ハボックは。どれだけ与えても足りない、もっと欲しいのか」

「はぁっ!足り・・・なぁい。ぁあああん!くふ・・・あっ、も、もっとぉ・・・」

「いい子だ。」

 

ロイは激しく動くバイブを抜き、間髪いれずに高く天を向く自身をハボックの蕩けきった蕾に押し込んだ。

そこは柔らかく、熱く、ロイを締め付け更に奥へと誘うようにうずく。

その誘いに乗るようにロイはハボックの足を大きく広げ深く深く楔を打ち込んだ。

 

「気持ちっいい・・・よお!たい、さぁ・・・っ!ひあああああ!」

「ハボック・・・っふ・・・ジ、ジャン・・・」

 

ハボックが白濁の液を大量に吐き出したのと同時にロイもハボックの中に熱を打ち付ける。

ヒクヒクとそれを受け入れハボックは意識を手放した。

ズルリとハボックの中から自身を抜き、精液と汗に塗れ気を失っているハボックの頭を優しくなでる。

 

明日もまた人を殺すだろう。

偽善的な言い訳などはしない。

お前の為なら人をも捨てるさ。

だから、戦場でも、火の中でも、闇の中でも、死の中でも一緒にいて。

そして、光と、温もりと、愛しさと、生を与えてくれ。

お前なしでは何もないのと同じだから。

いつまでも・・・










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