「俺・・・死ぬのかな。・・・死にたくない、死にたくない!」
頭の中に響くルークの悲鳴にも似た苦悩の声。
アイツからの声が聞こえるということはよほど強い思いなのだろう。
アッシュは歩いていた足を止め、その言葉に耳を傾ける。
「やっと生きたいと思えるようになったのに・・・」
そうか・・・
死なせはしない、殺させはしない。
お前が生きたいというのなら、生きていればいい。
お前の代わりに俺が死のう。
そして、俺の死と引き換えにお前が全てをくれればいい。
お前が息をする空気も、眠る時間も、喋る言葉も、泣く涙も、生きる心も、立ち上がる力も、見る瞳も、お前を彩る
全て全て全て。
お前は俺のいない世界で俺のものとして永遠に生きればいい。
俺のいない世界で片時も、俺を忘れず、俺を思い、俺を愛し、俺を探せ。
俺の為だけに生き、誰のものにもなるな。
そんなの、許さない。
俺が唯一許してやることは、お前が俺のために死にたいと思うことだけだ。
だが、死ぬのは許さない。
お前は生きろ。
生きて、生きて、生きて、俺のいない苦痛と悲しみと後悔を味わい続けろ。
それが死にゆく俺が最初で最後のお前に残すものだ。
俺はお前の全てを貰って・・・逝く・・・。